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最果ての地に小規模校として生きる
廣畑 譲

 長崎という最果ての港町では、経済不況、少子化などという全国的な要因に加えて、今年は、豪華客船の建造中の火災、県議のゼネコン汚職、大型テーマパークの会社更生法申請などと、地方経済に深刻な影響を及ぼす出来事に見舞われ続けました。地政学的な考察など胡散臭いと思っていましたが、ここ長崎ではかなりの信憑性を感じます。

 「長崎」は文字通りに海に長く突き出た地形で、周辺の海にはもちろん人はいません。市内の人口減を補う、周辺町村も僅かな宅地しかありません。後背地に陸地を持たない長崎の少子傾向は、直接に受験生の減少を顕在化させます。

 また、長崎が鎖国時代に日本唯一の西洋文明の窓口とされた理由は、異文化を江戸から遠ざけるためには最適の遠い港であったと言えましょう。それでも西洋文明の唯一の入り口であった時代には、好学の士が当地を目指しています。今や西を目指すのは単なる観光客、地元の受験生は大都市の大学を目指して流出します。

 そればかりでなく、「長崎は大学が多すぎるのではないか」といわれます。大学の数、町の人口などに多少の関心がある学校関係者からすれば当然の結論でしょう。

 冒頭から次元の低い世俗的な関心事を述べることに、元教師は内心忸泥たる思いもありますが、経営的な責任をも担っている今の役職からすれば、長崎の状況に拘泥するのです。先に述べたように、私ども地方大学の現況は、地域による個別性に強く影響され、地政学的な要因とも無関係ではありえません。こうした地域で生きるためには、もっともな総論でなく、適切な各論でなければ間に合いません。いま理事会は、教職員に次年度の予算案を提示すると共に、短期的な事業の提案と協力を求めています。

 活水学院は間もなく(2004年12月)、創立125周年を迎えます。四半世紀25年を大きな節目として、今回は、厳粛な記念式典は挙行しますが、派手なイベントなどは行いません。その代わり、創立者の「建学の理念」を教職員全員で学習・討議し、教育共同体の構成員であることの自覚を促すことを計画しています。

 それによって創立者のゆるぎない信仰と、使命感を振り返りたいと思います。学納金が減少し、人件費とのバランスを失いつつある現在、主にある未来を信じて希望を失わず、教育への使命感を維持します。このため、委員会が設定する各種の研修・検討計画に積極的な参加を期待し、全職員に説明と協力を要請しています。

 小規模校が地方都市で生き残るためには、小手先の改組ではなく、名門意識を捨てて現状を認識し、構成員の意識改革を徹底することだと思います。どれだけ多くの者が参加出来るか、それを自己満足ではなく、どれだけ地域に伝達できるか、もっとも単純なことをどこまで徹底できるかに、地方女子大学の可能性を求めております。

〈活水学院理事長・院長〉
キリスト教学校教育 2003年4月号1面


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