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ブックレビュー
出会いの中から生れた本
 キリスト教との出会いシリーズ

本田栄一著「はじめて知るキリスト教」、後藤田典子著「旧約聖書」、
春名康範著「生きる力」
澄田  新

 私は、聖書を通して、「生きる」とはどういうことかを、生徒自身の「問い」として、彼らが考えることができる授業をしたいと、いつも願っています。そのため、授業でどのような補助教材を用いるかは、大切な要素になります。

 昨年末、日本キリスト教団出版局から、中高聖書科のサブテキストが出版されました。その4冊を、それぞれの本の〈はじめに〉〈おわりに〉から、紹介します。


 キリスト教との出会い  『はじめてのキリスト教』

 著者の本田栄一先生は、女子学院中高等学校聖書科教師です。本書の〈おわりに〉で、「本書で意見交換や話し合いを取り入れているのは、一方通行ではなく、双方向の授業をめざしているからである。生徒が、自分から興味を抱くよう適切な配慮をしながら、本書を用いていただければ幸いである。」とあります。
 本書は、4章16単元から成り、1章は「キリスト教学校に学ぶ」、2章は「21世紀を生きる―自分を見つめ、世界を考える」、3章は「生き方に学ぶ―『地の塩・世の光』として生きる」、4章は「宗教とは―21世紀のキリスト教」、という章で構成されています。初めてキリスト教に出会う生徒たちに、いじめの問題、平和問題等の具体的事柄を通して、「問い」を投げかけてきます。


 キリスト教との出会い  『旧約聖書』

 著者の後藤田典子先生は、金城学院中学校宗教主事です。本書の〈あとがき〉に、ビデオなどの視聴覚教材や、紙芝居、マンガなどで聖書の物語が一般に知られ始めていることを述べたあと、「けれども、聖書の授業の基本は、やはり聖書そのものを読み、聖書そのものの語りに耳を傾けることだとわたしは考えている。本書がそのための一助になることを願ってやまない。」とあります。
 本書は、5章26単元から成り、1章で、旧約聖書の構造、風土、時代を述べ、それ以降の章で、天地創造の創世記から、メシアを待ち望んで荒野を旅していた人たちの中に、イエスが誕生するまでを語っています。私が大変面白いと思った一つは、各章の終わりに、〈ブレイク〉があることです。その中の一つ「たくましいイスラエルの女たち」は、著者の思いが伝わり、私は楽しい本になっていると思いました。一息つけました。


 キリスト教との出会い  『新約聖書』

 著者の富田正樹先生は、同志社香里中高等学校聖書科教師です。本書の〈あとがき〉に、「新約聖書は、2000年近くもの歴史を生き残ってきた書物です。しかし、古臭くてわけのわからないことを書き連ねた本ではありません。そこに描かれているのは、いまと変わらぬ生身の人間の姿と、そんな人間と共に生きたイエスやクリスチャンたちのドラマなのです。そんな聖書に描かれた人間像を少しでも身近に感じ合いたいと願い、いかにも教科書風に解説するだけでなく、いくつかの単元では物語として読めるように書いたところもあります。」とあります。

 本書は、7章26単元から成り、各単元の終わりに〈課題〉があります。現場の教師には、ありがたいことです。また本書の終わりには、嬉しいことに、「おすすめサイト」があり、インターネットで「キリスト教」を調べることもできるようになっています


 キリスト教との出会い  『生きる力』

 著者の春名康範先生は、神戸女学院中高等部部長です。本書の〈はじめに〉で、「私たちは怒ってもいいのだ、泣いてもいいのだ、(中略)もっと心底から笑ってもいいのだ。面白くないことや、空しく感じることが多くあるけれども、世界や人間や自分に関心を膨らませて生きよう。『生きる力』をパワーアップしよう。」とあります。

 本書は、3章24単元で成り、本書の特色は、各単元の終わりに、〈聖書研究〉というページがあることです。各単元の内容を聖書本文から適切に解説しています。そしてそのあとに、ワークシート、資料、歌、ゲームのページがあり、「生きる力」のパワーアップをはかる試みがなされています。

 また本書は、大切な内容を扱うからこそ、肩のこらない楽しいマンガ入りの本になっています。


 「キリスト教との出会い」シリーズは、それぞれの著者の、イエス・キリストとの出会い、生徒たちとの出会い、そして自分自身との出会いの中から生まれた本です。頭の中だけで生まれた本ではありませんから、手作りの暖かさを感じる4冊です。

 また新しく歩み始める4月を迎えました。

〈関西学院高等部宗教主事〉
キリスト教学校教育 2003年4月号8面


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