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第44回中高研究集会
講演 生徒の心の問題の兆候・発題要旨―講演をめぐって

心のサインを見逃さないで
田中 愛子

 捜真女学校は、中高合わせて生徒数は、1080人余です。保健室は、2人体制で運営しております。

 「保健室のにおい大好き、保健室って何だか落ち着くの」と生徒達は、よく言います。

 保健室では、生徒達はありのままの自分でいられる所のようです。マニキュア、ピアス、スカート丈等の校則違反を見つけて直させるうるさい所なのですが、何故か保健室は居心地が良い所のようです。

 頭が痛い、お腹が痛い、気分が悪いと色々訴えてきます。休み時間毎、あるいは毎日保健室に来る生徒は、信号を送っているのです。〈心のサインを見逃さないで〉と言われます。「どうしたの、何かあるのかな」と声をかけますと、ポロポロと涙を流し、つらい思いを吐露しだします。泣いて腫れた目を冷やしてあげ、そっと寝かせます。私達や、担任が聞いて解決出来る事もありますが、学校カウンセラーのケースになる場合もあります。

 授業に出たくなくて保健室に逃げ込んできたり、嫌いな授業の前になると、顔面蒼白で体調不良を訴え、また授業中に精神的にパニックになって飛び込んで来たりと、色々な生徒が来室しますが、まずは、その生徒を丸ごと受け入れ対応しています。

 保健室は、健康面での関わりの場ですので、生徒達が、素直な気持ちでSOSを出しやすい所なのではないでしょうか。保健室には養護教諭がいつもいますので、誰にも知られたくないが、誰か大人にSOSを求めている時、保健室に飛び込んで来るのです。

 摂食障害は、低年齢化しています。初期段階の生徒に対しては、健康診断の記録を把握している保健室が一番アプローチしやすい立場にあります。これらの生徒は、生命の危険があるために、早期に専門医療機関につなげたいのですが、本人が拒否するため、時間がかかってしまいます。掛かり付けの開業医や校医にお願いして、血液検査を受けさせ、そのデータから専門医受診の必要性を話し納得させます。ある生徒は、初潮を迎えないまま高3になり、ひょんなことから骨折が見つかり、骨密度の低下が判明しました。大切な事は、本人の自覚と、家族、特に母親が病気を理解し、子どもを丸ごと受け入れ、早期に治療が開始される事だと思います。

 自傷行為も、一般的に多く見られます。これは、心の一つの表現であって、深刻な問題が内在しています。生徒の抱えている問題を見極め、カウンセリングや専門医へ送る判断を養うことも、私達の大切な仕事だと思います。

 家庭崩壊の時代といわれますが、子どもの出しているサインに気付き、家庭の役割を見つめ直してほしいと思います。生命の尊さ、生きる事の大切さが、礼拝等でも度々語られていますが、この病んでいる時代、生徒との関わりの中で、キリストの愛と平和を伝える事も大切だと思います。

〈捜真女学院中高校教諭〉
キリスト教学校教育 2003年5月号3面


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