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第4回キリスト教女子大学・短期大学学長協議会・報告
女性大学でなされる良い教育とは
船本 弘毅

 キリスト教学校教育同盟に属する女子大学と短期大学の学長が共に集まって、直面する課題を論じ合い、重荷を共に担い合いつつ、進路を探る学長懇談会を発足させてから早くも四年が過ぎ去った。年々女子大学・短期大学が減少するという厳しい現実の中で、この会は内容のある会として積み重ねられて来たが、過去3回の会で参加者の多くの方によって、しばしば言及され引用された『アメリカの女性大学―危機の構造』の著者である坂本辰朗教授を講師に招いて、4回目の協議会が9月5日(金)アイビーホール青学会館において開かれた。

 坂本先生とは、会の趣旨や目的、キリスト教女子大学・短期大学などの現状について手紙や電話でやりとりをさせていただいたのであるが、8月中旬にこんなお便りをいただいた。

 「講演まで、はや1ヶ月を切ることになりました。現在、鋭意準備を進めております。大学教育におけるジェンダーの問題というのは、大学に身を置く者にとって、少し気を付けてみれば、きわめて日常的に経験するものであるわけです。
(中略)
私にとって、アメリカ合衆国の女子大学の研究は、ひとたびは完結させたものですが、今回、あらためて調べなおしますと、21世紀という新しい時代を迎えたこともあり、今まで気づかなかった問題が見えてきました。よい機会をあたえていただいたことに深謝申し上げます」。

 わたしは先生の誠実な人柄に心打たれると共に、大きな期待をもって会に臨んだのであるが、内容豊かな、そして何より周到に準備された講演は、その期待を裏切らないものであり、出席者に深い感銘を与えた。

 講演の内容は本誌に要約が掲載されている通りであるが、国際的に見た日本の女性高等教育の問題に始まり、教育におけるジェンダーの問題の捉え方、そして積極的に女性大学の存在の存在意義へと展開する講演は、教えられ、考えさせられることの多いものであった。

 OECDの調査報告によれば、27ヶ国のうち21ヶ国では女性の卒業生が54パーセントを占めるのに、日本の女性高等教育の就学率は最低であること、日本ではドクターコース終了者の80パーセントは男性であること、アメリカでは大学教授の41パーセントが女性であるのに、日本では女性教授は極めて少ない現実など、次々に挙げられた数字にはショックを禁じ得なかった。「共学」とは日本では男性教育への女性参加と理解されて来たのに過ぎないのではないかという指摘は特に心に残った。

 今後の課題として、ジェンダー教育を中長期的視点の中でどう位置づけるのか、リーダーを育成するために女性大学が必要なのではないか、ジェンダーフリーという立場は重要な問いを放棄していることにならないか、女性大学を生涯学習の視点から捉えなおすことが必要ではないか、女性大学でなされる良い教育とは、女性のみでなく、どの大学でも重要な意味を持つ普遍性を持っているのではないかといった問いかけと示唆を与えて下さったのは、現場で苦悩している学長にとって良いヒントと励ましを与えられたと言えよう。

 質疑・討議の時間は限られた時間ではあったが各大学の現状が語られ、その中で、如何にこれからの歩みが模索されているかが率直に語られ有意義であった。

 重厚な講演でわたしたちを刺激して下さった坂本辰朗教授、開会礼拝の説教を担当して下さった西垣二一広島女学院大学学長、討議の司会をして下さった阿部幸子青山学院女子短期大学学長のご労苦に、心から感謝したい。

 第5回のキリスト教女子大学・短期大学学長協議会は来秋また開かれる予定であるが、キリスト教女子中学校・高等学校校長協議会の必要性が訴えられ、教育・研究委員会はその実現のために準備を始めていることを付記して、報告としたい。

〈教育研究担当理事、東洋英和女学院院長・学長〉
キリスト教学校教育 2003年11月号2面


キリスト教学校教育同盟