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パネルディスカッションのまとめ

人をはぐくむ
-どこに視座を、何を拠り所に-
本田 栄一

今年のパネルディスカッションは三人の発題を聞いた後、指定応答者からの質問に発題者が答える形式ですすめた。

発題者と応答者のやりとりを中心に展開された討議の内容を報告する。

 人権教育やボランティア活動に取り組み、その実践は著作を通しても知られている小暮修也氏には、鈴木孝二氏(基督教独立学園)から「生徒のボランティア活動が学校全体の中で、どのように位置付けられてきたのか」その活動の経緯が質問された。

 小暮氏は「最初は十人からはじまり、同好会として発足し、全校生徒に呼びかける活動を継続するなかで保護者、卒業生にも支援の輪が拡がっていった。今後は校内にボランティアセンターを設置する構想がある」と抱負を語った。

 教育同盟に加盟して二年目の自由学園から参加した副学園長の矢野氏は、パワーポイントを用意して、学園のユニークな教育を紹介し、参加者の関心を集めた。

 応答者の村瀬きく氏(女子学院)から「知識を統合し、表現する力を養うには熟成の時間が必要だが、そのための時間はどのように確保されているのか」と問われ、「教員の裁量で、カリキュラムは柔軟に運用され、時間的な配慮をしている。教科書以外の教材も用いて工夫を重ねている」との説明がなされた。

 学生の礼拝出席に熱心に取り組んできた福岡女学院大学の中川氏には、吉岡良昌氏(東洋英和女学院大学)から「教会とはちがうキリスト教学校の役割を考えるうえで、学校で福音を語ることと教会で福音を語ることはちがうのか」という問いかけがなされた。

 それに対して「学校と教会で語られる福音にちがいはない。しかし、対象が違うことへの配慮が必要ではないか。学生のおかれている現実をよく理解して奨励が語られるよう説教者に工夫が必要だ」と中川氏は学生への配慮を強調した。

 三人の発題が人をはぐくむうえで、どこに視座を求めるのか、何を拠り所にするのか正確に把握し、現場をふまえた具体的な実践報告であったために、参加者は共感しながら聞くことができた。

 また今回は、深谷先生の会長講演とパネルディスカッションが主題に即して展開されたことにより、参加者にとって「建学の精神」を担うことの意味と具体的な実践が統一されて受けとめられたように思う。

三人の発題者に感謝したい。



〈桜美林学園中学高校校長〉
キリスト教学校教育 2004年9月号3面


キリスト教学校教育同盟