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第37回全国中高聖書科研究集会
主題「人をはぐくむきリスト教学校」
-土にはぐくまれる生徒から学ぶ-
金田 俊郎

  第三十七回中高生聖書科研究集会は、二〇〇四年八月二十三日(月)〜二十五日(水)、北海道江別市のとわの森三愛高等学校を主会場に、「人をはぐくむキリスト教学校―土にはぐくまれる生徒から学ぶ―」の主題のもと、全国の同盟校より三十五名の参加者を得て開催された。

 開会礼拝で北星学園大学附属高校の横田法子氏は、自然と向き合って生きる友人が真に自分と向き合って生きている様子に、イエス様に癒された中風の人が自分の床を担いで帰る姿を重ね、自分の人生を自ら担いで生きようとする生徒を育てる、厳しく温かいシステムを学校教育の中にデザインしたいと語られた。続いて委員長磯貝暁成氏より挨拶と今回の主題の紹介、大橋邦一氏よりオリエンテーションの後、今研究集会の講師福島恒雄氏によって「酪農学園創立者の信仰と教育思想について」と題し講演を頂いた。酪農学園の創立者黒澤酉蔵の足跡とその思想について、豊富な参考資料を解説しつつ詳しく紹介された。特に彼の教育思想の根幹をなす「三愛精神」(神を愛し、人を愛し、土を愛する)の大切さが語られた。「土を愛する」側面が、正しい人生観や人格の養成と同時に、「公正な世界観」を育成する意味を持つことに気づかされた。講演後は全員で夕食会場に移動し、楽しい懇談と交わりの時を持つことが出来た。

 二日目朝はとわの森三愛高等学校の学校礼拝に参加し、同校宗教主任栄忍氏がマタイ二〇・一〜一六のぶどう園の労働者のたとえから、「神の公平」と題して説教された。人には一見不公平に見える中に、神の恵み深い公平さが隠されており、それに目を開かれるなら、人はいつでもスタートラインに立つことが出来ると励まされた。礼拝後、とわの森三愛高校及び隣接する酪農学園大学のキャンパス内を見学。野幌原生林を背にしたみどりの牧草と白樺の木々に囲まれた広大なキャンパスに羨望の声があがった。さらに大学附属動物病院の充実した最新設備には驚嘆させられた。森の木々を直接背景にした講談を持つ黒澤記念講堂内で大学宗教主任の高橋一氏より大学についての説明を受けた。

 午後は、酪農経営科・農業クラブの生徒達による実践報告が行われた。十分〜十五分程度の発表は、ナレーションやパワーポイント操作等それぞれの係りの生徒が役割を果たしてチームプレイ化されており、よく準備された分りやすいものであった。課題研究発表の内容も、家畜の屎尿をいかに適正に処理しかつ有効に利用するか等、実際的課題について創意工夫を重ねたもので興味深かった。なにより発表する生徒達の態度からは、次代を担う酪農家たるという確固とした目的意識と使命感が感じられ、土に育まれた者のたくましさを思わされた。また、各学年の代表による意見発表も、それぞれの現場(酪農家出身が多い)の実感のこもった内容であった。更に国連軍縮札幌会議への高校生ボランティア参加についての報告もあり、活動の広がりを感じさせた。

 夕食後持たれた分団協議では、四つのグループに分かれて、各校の状況や抱える問題について報告しあうなど、相互に良い情報交換の機会となった。

 三日目の午前中は北星学園余市高校の佐々木成行校長より、同校の実践報告を頂いた。一九六五年の創立以来四十年にわたる同校の歴史を「生徒募集との闘いで見る歴史」として紹介され、理事会から廃校案が出される中で、全国からの中退者受け入れの取り組みが進められたこと等が語られた。様々な背景と事情を持つ生徒達に「何をしにここへ来たのか?」と問いつつ、現代の単純化された価値基準からはじかれた生徒達が、ここで自分をさらけ出すことによって居場所を見つけ、自分の価値に気づいて新しく生き始めることを目指す。生徒達と真摯に向き合う同校教師達の姿が想像ができた。大麻報道後、意見書を新聞折り込みにする等の対処をして学校の姿勢を示すことにより、非難がやみ激励の声が増えたという最近の状況も報告された。

 この日は朝礼拝で、フェリス女学院野田美由紀氏がマルコ九・三〇〜三七を引いて「仕える者になる」ことが不変の課題であることが強調され、閉会礼拝でも遺愛中高の江間紗綾香氏が使徒言行録二〇・三四〜三五を上げ、ボランティアに参加した生徒の様子を伝えて、場を与えられた人のために働くことが、人を育てることにつながると示された。こうして三日間の研究集会を、実り多く終えることが出来た。

〈福岡女学院中学・高校宗教主事〉
キリスト教学校教育 2004年11月号2面


キリスト教学校教育同盟