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横須賀学院のメサイア公演
 
土井 直彦 
 
 横須賀学院は戦後の混乱期である一九五〇年に青山学院横須賀分校(専門部機械科、土木建築科及び第二高校)を引き継いで創設された。小学校・中学校・高等学校を設置し、現在千七百名の児童・生徒が学んでいる。

 創立当初は、”Sing, Smile, Service”の「3S精神」が唱えられ、神への讃美、お互いの受容、神と人への奉仕が強調された。キャンパス内には清らかな讃美歌の歌声が響き、キリストの香りに包まれた学園としてスタートし、現在に至っている。

 本学院は、地域の諸教会や人々のキリスト教主義学校への期待と協力のもと成立し、地域に育てられながら、これまで五十四年の歴史を刻み続けているといっても過言ではない。

 横須賀学院のクリスマスは、ツリー点灯式で幕を開け、アドベントを迎える。各学校でクリスマスの特別礼拝を行い、燭火礼拝、ページェント、メサイアと行事が続く。本学院のメサイアは、当初ページェントと共に学内チャペルにおいて行われていたものであった。

 一九五七年のページェントでは、高校・中学生男女四百五十人でハレルヤコーラスを合唱した。これが発端となり、ページェントにおけるハレルヤコーラスは本学院のクリスマス行事の一翼を担うものとなっていった。

  学内でページェントの際に行われていたハレルヤコーラスをメサイア公演として一般に還元することを行ったのは、一九六二年からである。音楽教諭であった故見上幸也を指揮者として、プロのオーケストラやソリストを迎え、一般の方々の耳に耐えうるレベルまで質を上げるためには、多くの準備を要したことは言うまでもない。そのための企画準備や音楽指導、また経済的負担など多くの困難があったことが記録には残されている。それは、学内の一行事から市民のための本格的な音楽会として変化に伴う必要な困難であった。一九六七年の第五回公演からはメサイアの全曲の演奏が行われ、現在まで続いている。その後指揮者は、田中一嘉氏を経て、現在渡辺善忠氏を迎え励んでいる。ハレルヤコーラスを中心として部分的な演奏を行う公演は多く、メサイアがクリスマスの時期に定着する元となったことは周知の通りであるが、高校生による全曲暗譜は珍しいと評されている。

 本学院のメサイアは、市民に開かれた音楽会としての形態をとることから、第一回より入場料を頂き、質を上げ活動を行うことを重視していた。しかし、近隣学校や緒教会など多くの一般の方々から認知され、支持を得ていることを自覚し、一九九八年より無料の公演としている。

 メサイア公演は市民に向け開放されたものであると同時に、「共にクリスマスの喜びを祝う時」であることをモットーとしており、伝統的にのっとりハレルヤコーラスの際には会場が起立し、共に合唱を行っている。その為にPTAや同窓会では、コーラスの準備を行い会場からコーラスをリードし、「共に祝う」ことを支えている。それまでのクオリティーを維持しつつ、学外施設を借り受け、公演を行う上で、経済的な負担は更に大きいものとなった。現在収入は、クリスマス賛助金として各家庭から、後援会からは援助費の協力を得て、また広告収入に負うものは大きいが、その準備は、毎年容易なものではない。しかし、本学院のメサイアが、多くの人々に支えられ成りたっていることは、これまで学外の方々と共に歴史を積み重ねてきた結果でもある。

 二〇〇二年には公演も四十回を迎え、よこすか芸術劇場に会場を移し記念公演を行った。この公演を期に、広く市民・一般に参加協力を求めるために、教育委員会、私立中高協会、私立小学校協会等の後援を頂き、また地域諸団体からの協賛を得、支援の輪を広げている。二千人近い動員を得るためには、多くの協力が必要となったが、幸いなことにほぼ満席を得ることができたのは、メサイアが多くの市民に認知され、支えられているからであることを改めて実感している。

〈横須賀学院宗教主任〉
キリスト教学校教育 2004年12月号4面


キリスト教学校教育同盟