ホーム < キリスト教学校教育 < 05年1月号 < 3面

第47回学校代表者協議会
主題 「キリスト教学校と経営」

経営関係分科会
西田 一郎

 経営関係分科会は、「私立学校の経営体制―私立学校法改正への対応―」をテーマに、パネリストとして西野芳夫氏(関東学院常務理事・経済学部教授)、 桑原昭氏(明治学院監事・日本キリスト教会柏木教会応援牧師)、山田幸太郎氏(中央青山監査法人学校法人支援室長)の三氏を迎え、司会役は西田一郎氏 (国際基督教大学財務理事・総務副学長)が行った。

 パネリストからの意見表明のみならず、参加者六十余名の中からも質問、問題提起などが活発に行われ、 極めて有意義な機会となった。

 主たる論点は、来年四月実施の改正私立学校法に即して、理事会の経営責任と教学組織との関係、監事の役割、財務情報の開示、についてであり、以下のような議論が展開されたが、これらは、各学校法人の「寄附行為」改正、具体的な学校運営に密接な関係をもつ問題であった。

(1)理事会の経営責任
 今回の私立学校法改正により、経営責任体制に関する枠組みは整備された。株式会社や独立行政法人国立大学の組織とも似た責任体制が組み込まれ、理事会(その代表者たる理事長)の最高意思決定機関という性格が明確になった。

 問題は、理事会がその責任遂行能力をどのように形成するか、どのような基準にもとづいて学校内の教育・研究事業の実態を把握し、組織体としての運 営をリードしていくかにかかっているとの指摘があった。

 そこで例えば、大学においては義務化された自己点検・評価と第三者評価の結果を活用することが有効とする意見も出た。また学内の例えば教授会との連携・協力関係をどのように構築するかが議論された。学校教育法五十九条に定められた「教授会において重要事項の審議を行う」と理事会の意思決定との関係についても意見交換があったが、教授会はあくまでも審議であり、厳密な意味での議決機関ではないとの指摘があった。いずれにしても理事会が学内諸機関との役割分担や協力関係を構築するには、法的な枠組みとは別に様々な工夫が必要ではないかという考え方も表明された。

(2) 監事の役割
 監事の役割が、従来の財務監査中心に業務監査が加わったことから、一段と重みが加わったことが確認された。前者については、監事は外部の公認会計士・監査法人と十分協力し合いながら、不適切な事務処理や非効率な予算執行を防止するという役割に大きな変化はない。問題は業務監査の視点をどこに置くかであるという点に議論が集中した。

 とくにキリスト教主義教育という理念(あるいは志)をどのように教育・研究事業に反映させているか、いわば学校設立の合目的性の評価ということが監事に委ねられているとする一方、基本的には財務中心の評価にとどまるべきあるいはとどまざるを得ないのではないか、との考え方も示された。

 この問題は監事という特定の者にのみ委ねられるべき性格ではないとしても、キリスト教主義教育を実践していく各学校において大変重い課題であると実感された。

(3)財務情報の開示
 一般企業に期待される情報開示は、その収益性に集約され、いわば投資家を強く意識したものである。

 これに対し、学校の利害関係者(ステークホールダー)は在学生、志願者、教職員、卒業生、債権者、寄付者など広範囲にわたるだけに開示内容は単なる財務情報にとどまることはできないとの指摘があった。また、これからは学校の公益性(社会的責任、経営効率性)に焦点を当てた情報開示が求められるとの意見もあった。

 こうしたことを踏まえると、法改正によって新しく義務化された事業報告書の作成が大きな意味を持ち、この内容をどれだけ充実したものにするかがポイントになろうとの認識は共有されたといえる。


<国際基督教大学財務理事・総務副学長>
キリスト教学校教育 2005年1月号3面


キリスト教学校教育同盟