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関西地区 地区大学部会研究集会
大学キリスト教教育の行方
-伝統と現実のはざまで-
山ア 正幸

 第四十八回関西地区大学部会研究集会は、「大学キリスト教教育の行方―伝統と現実のはざまで―」との主題を掲げ、十月二十九〜三十日、名古屋市内で開催された。出席者十三大学二十名。

 志村真氏(中部学院大学短期大学部)による開会礼拝の後、山内一郎氏(同盟理事長、関西学院理事長)による主題講演が行われた。

 山内氏は、以下四項目を挙げ、大学におけるキリスト教育の課題について所感を述べられた。

 第一に、競争環境の激変により大学は自然淘汰の時代を迎えているが、我々はこの状況に逆挑戦出来るかが問われている。建学の精神への回帰をバネにして未来開拓をなし得る大学改革を行うことが出来るかが鍵である。

 第二に、日本のキリスト教受容は伝道と教育の二分化構造の中で展開されたが、宣教の神学を復権させ、キリスト教教育はその中に位置づけられる必要がある。

 第三に、キリスト教学校はキリスト教〈主義〉学校ではないか。この〈主義〉は、大学がキリスト教の原理を教学・経営一切の基盤とすることを主体的に選び取り、教育に対する公共的なミッション実現を目指す使命共同体であることを意味する。また、共生と出会いを目指す動的関係主義を創出するものである。(山内氏は、Parker Palmer著の"The Courage to Teach"を紹介し、教育のプロセスが知性を進化させるspiritualな旅となり、教師が内発的な喜びに基づいて教育を行う意義を示して、〈主義〉活性の道を示唆された。)

 第四に、関西学院大学の「二十一世紀初頭の基本構想」とそれに基づく具体的な取り組みの報告がなされた。すなわち、
@ 建学の理念実現に責任を負う理事会機能の強化、Aキリスト教主義教育の内実化(チャペルアワーの重視、キリスト教と文化研究センターの立ち上げ、社会的な諸活動実践強化等)について紹介がなされ、最後に、広島での「折り鶴放火事件」を通して一層力を入れている平和教育実践について報告がなされた。

 以上の山内氏の主題講演を受け、二度の全体協議が行われた。

 第一回目には、「日本」を回避してきたキリスト教教育の脆弱さを問う意見が出され、またチャペルアワー等を通して「何故キリスト教に価値を置くのか」を学生に届くように語ることが我々の重い課題だとの意見が出された。

 第二回目は、五人の発題者を立て、勤務校の現状や教育実践の報告がなされた。学生個々人の人格形成まで視野に入れたボランティア活動・平和教育の実践、教職員・学生が建学の精神にふれることの困難さと克服のための努力についての報告。更にキリスト教の絶対性に抵抗を覚えつつも相対主義に「病感」を感じている学生・教職員へのアプローチの大切さを指摘する意見も出された。

 最後に松本真一委員長が「キリスト教」と「文化(実践)」の統合が教育・研究双方において我々の課題であると指摘して全体協議をまとめ、葛井義憲氏(名古屋学院大学)による閉会礼拝をもって研究集会を閉じた。


〈松山東雲短期大学宗教主事〉
キリスト教学校教育 2005年1月号3面


キリスト教学校教育同盟