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一貫教育の強化を
大崎 節郎

 今日のキリスト教学校は、極めて厳しい状況に置かれている。もっとも、わが国は非キリスト教的社会であるから、環境の厳しさは言うまでもなく、明治期も一九四五年のわが国敗戦に至るまでの昭和期も多くの苦難に耐えて来なければならなかった。今日の環境の厳しさを徒らに嘆いてはならないと思う。

 振り返ってみれば、戦後から最近までの日本社会はキリスト教学校にとって比較的良好な社会であったように思われる。こうした社会環境の中で、キリスト教学校は概して順調に成長・発展してきた。しかし、この状況は今日著しく変化している。

 いわゆるバブル経済崩壊後の日本経済は長いデフレのトンネルを未だに抜け切れていない。個人消費は低迷し、国家経済も景気刺激を期待して発行され続けてきた多額の国債収入によって、かろうじて成り立っている。歳入の半分近くは借り換え債を含む国債に依存しているだけでなく、国の借金はGDPの額に匹敵する七百兆円を越えるまでになった。こうした背景の下で、ほとんど一〇〇%に近い進学率に達している高等学校を別にしても、大学の学生数はいわゆるユニバーサル段階に到達し、これ以上の進学率の増加を期待することは極めて困難であろう。これらの要素以上に学校を困難な状況に置いているのは、急激に進んだ少子高齢社会の到来である。少子化は今後十数年は確実に進行する。その上、キリスト教学校にとって大きな問題は、間もなく現実のものとなることが強く危惧される、現在の憲法体制の変革、したがって教育基本法の改訂という新しい事態の到来である。むろん、憲法も教育基本法も不磨の大典であるわけではない。問題は、改訂の方向性にある。近く「みどりの日」は「昭和の日」と変えられるという。

 このような状況の中でキリスト教学校はどのように対処すればよいか、各学校においてすでに真剣に検討されていることと思う。多くの点で改革が迫られている。改革と言っても、中には、これまで努力してきていることをさらに推し進めればよいこともあろう。たとえば、優れた教員を獲得することである。この前あるアンケート調査を行ったところ、生徒の父母が最も強い関心を持っているのは、教員の質が高いかどうかにあった。高い教養と優れた人格を備えたキリスト者教員の獲得が極めて重要であることは明らかである。

 もっとも大切なことは、言うまでもなく、自らの立つ原点に立ち帰ることであろう。この点で具体的な一つの提案をしてみたい。多くのキリスト教学校は中学校、高等学校、大学等、複数の学校を擁している。すでに存在しているこれら学校の強力な一体化、教育内容を含めて相互の連携を密にした「一貫教育」の確立が急務であるように思われる。少子社会に対する対応と教育の効率化を求めて、中高連携ないしは一貫教育の試みが、公立学校においても盛んになっている。その面だけでなく、日本の社会でキリスト教的教育を推進するためには、相当の長期間におよぶ教育が必要であるから、一貫教育の充実が益するところ大であることは疑いない。



尚絅学院院長、同盟評議員
キリスト教学校教育 2005年5月号1面


キリスト教学校教育同盟