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パネルディスカッション発題

捜真学院 捜真小学校の理念と平和教育
佐藤 勇

建学の精神とその理念

捜真学院は創立百十九年という歴史を持っています。当初から男女共学の初等科がありました。しかし、明治三十二年に文部省からの法令により特定の宗教を学校で教えることができなくなり、捜真学院は捜真の土台のキリスト教を抜きにしては存在価値がないと判断して、初等科を閉鎖しました。小学校の再開は一九五七(昭和三十二)年でした。再開の目的は、勉強だけの教育ではなく、こころの豊かな人間形成を行う教育すなわちトータルでバランスのとれた人格を育てる教育を行うためでした。

捜真は創立以来、この「心の教育」に重点を置いてきました。その基準になっているのが聖書です。聖書はその全体を通して、人間の愛してやまない神様について語っています。ですから、私たちが目指しているのは、「神の愛に基づいた愛の教育」です。

捜真では、命も死も支配したもう、全知全能の神、私たちに命をお与えくださる神に、知られ、愛され、一人一人が神の目に尊い存在であることを伝えています。神から愛されていることを知ることは、他の人もまた同じように神から愛されている大切な存在であることに気付き、共に生きることへとつながっていくのです。この神の愛に生きる生き方を捜すこと、すなわち、神に愛されていることを知り、他者を愛し、自分を大切にする生き方を捜すこと、これが心理を捜す、捜真教育の基本理念です。

 具体的な実践内容

 本校のキリスト教教育には四本の柱があります。

@まず礼拝から始まります。教職員による毎朝の祈祷会から始まり、児童の全校礼拝と学年礼拝により一日が始まります。

A宗教行事を全校で実施するとともに、毎年一回、静岡県御殿場市にある本校の宿泊施設において自然教室を開き、聖書の学び、語り合い、等により神への畏敬と感謝を培います。

B教会学校への出席を奨励しています。そのために、創立以来、土曜日を休日とする、週五日制を行ってきています。

C保護者に対してはPTA活動を通して、キリスト教講座を月一回開き、キリスト教の理解を信仰の糧が与えられています。

本校のキリスト校教育の内容について触れましょう。

「神について」「人について」「礼拝について」「生活について」学んでいます。今度は「生活について」に注目します。この中には次の項目があります。「隣人を自分のように愛することが最も重要な掟の一つであり、平和を実現する人々は幸いであると主イエスが教えています」。「平和を実現する」とのことから本校では平和教育をすすめています。

@教員としての取り組みでは、研修委員会を中心に研修課題を決め、三年前の研修会では福島県白河のアウシュビッツ平和博物館を訪問し、歴史を学び、「平和をつくりだす」使命について再認識する機会となりました。本年七月には広島県竹原市大久野島の毒ガス資料館と広島市の広島平和記念資料館を訪問し、毒ガス製造の秘密主義と原爆罹災の七十九歳の語り部の方のはなしを伺ってきました。この研修を通して学んだことを、必ず児童に伝えなければ、日本の平和・世界の平和はないことを全員が感じました。日本が「戦争ができる国」になりつつある昨今、教育の現場に立つ私たちに課せられている役割は大変大きいと思います。過去の戦争でも、まずは教育の現場から変えられ、思想統制がなされてきたことを私たちは改めて考えていかなければならないと確認しました。

A児童としての取り組みでは、捜真が太平洋戦争で校舎を全部焼失してしまったことから、一九四五(昭和二十)年五月二十九日の横浜大空襲の日が近付く頃、毎年児童はこの横浜大空襲を体験された方より、その当時の様子や生活を聞くことにしています。同時に戦争文学作品を読み、ビデオを見て、戦争の悲惨さを学び、戦争は絶対してはならないことを学びます。まとめとして、全校児童・教職員と父母といっしょに「平和を祈る礼拝」を行っています。礼拝の最後に児童の作った「平和の祈り」を全員で読み、祈ります。平和ということを共に学んで、共有することを大切にしています。


〈捜真小学校校長〉
キリスト教学校教育 2005年10月号2面


キリスト教学校教育同盟