ホーム < キリスト教学校教育 < 05年10月号 < 3面

パネルディスカッション まとめ
小林 俊哉

今年度のパネルディスカッションでは、各学校におけるキリスト教教育がそれぞれの建学の理念にもとづき、どのように実践されているかをめぐり討議を展開することとした。そのために三名のパネリストにはそれぞれが所属される学校におけるキリスト教教育の現状と、それへの関わりについてのご報告をお願いした。

立教大学チャプレンの香山洋人氏は、チャプレンの位置づけや聖公会校としての立教学院の概略から話を起こされた。香山氏はまず単発的なイベントではなく、キャンパス生活全体に注目するキリスト教教育の重要性を強調された。キャンパスライフの中心にはいつもキリスト教があり、キャンパスにはいつもチャプレンがいる、という思いを学生には普通のこととして認識してもらいたい、というのが香山氏の願いである。この思いの中で、さまざまな礼拝、キリスト教関連サークルの指導、そして授業など多彩な場面での活動が展開されている。キャンパスの中にキリスト教がごく自然な形でいつも存在し、必要なときにはいつも必ず受け止めてもらえる、という意識を学生に持ってもらう、という香山氏の実践テーマは、同時にわれわれが目指すべきキリスト教教育の一つの形態であると強く感じた。

西南学院高校宗教主任の板東資朗氏は、西南学院のスクールモットー「西南よ、基督に忠実なれ」が、時代の変遷を越えて継承されてきたことの紹介で報告を始められた。このあと、西南中高の現状報告と板東氏の取り組みが紹介された。氏は特に、自らを「振り返る」時間の欠如という深刻な問題を指摘された。この状況では、生徒を「はぐくむ」ことの困難さがより際だつということなのだ。このような中で、チャペル、朝礼・終礼、聖書科授業、特別礼拝、そしてその他の多彩なキリスト教関連行事が、西南中高における多くの具体的な取り組みとして紹介された。特に氏が心を砕いておられる課題の一つは、生の「分断」や「私物化」に対峙する、「共生」、「共同性」、「共同体」の紹介と誘いを、生徒のみならず教職員に対しておこなうことである。これの具体例の一つとして例示されたのが、福岡市内のホームレスの人たちを支援する団体「福岡おにぎりの会」との協働である。このような実践を通して「基督に忠実」に歩もうとする西南中高の姿は大いに示唆的であると思った。

捜真小学校の佐藤勇氏からは、特にその特色ある平和教育の取り組みを中心軸にして発題をいただいた。佐藤氏はまず百十九年の長きにわたる捜真学院の歩みと、「真理を捜す」という建学の理念を語られた。そのキリスト教教育の実践にあたり、捜真小学校には@礼拝A宗教行事B教会学校出席の奨励C保護者への働きかけ、という四つの柱があることが紹介された。そしてキリスト教教育の内容を@神についてA人についてB礼拝についてC生活について、の四つの領域にわけ、そのうち「生活について」の中で平和教育の取り組みがおこなわれている。捜真小学校で使われる「平和の祈り」を、集会三日目の閉会礼拝で参加者一同が捧げることができたことは幸いであったと思う。

それぞれの発題に続くフロアからの質問への応答、パネリスト同士のディスカッションもおこなわれたが、その紹介は紙幅の都合で割愛せざるを得ない。いずれにせよ、それぞれの歴史や建学の理念の違いはあるものの、キリスト教学校に連なるものとして、教員一人一人が使命感を共有しつつ日々の歩みを続けることの必要性をあらためて感じた次第である。

〈新島学園短期大学教授〉
キリスト教学校教育 2005年10月号3面


キリスト教学校教育同盟