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第3分科会

キリスト教学校と経営
西野 芳夫

本分科会では、学校法人の経営問題を取り上げた。発題者には小林信夫氏(宮城学院・財務担当理事)、吉田茂生氏(西南学院・常任理事・事務局長)、大海龍生氏(明治学院・財務理事)を迎え、司会は報告を兼ねて西野芳夫(関東学院・財務担当理事、経済学部教授)が務めた。

今回のテーマの背景には、私立学校の経営環境が、従来のいわゆる護送船団方式のもとで行われる横並び経営の時代から、市場原理の導入による経営の自己責任原則の時代へと、大きく変化したという状況の認識がある。代表者協議会でもこの二年間、連続して「キリスト教学校と経営」の課題に取り組んできた。

二〇〇三年度に桜美林大学・佐藤東洋士学長・理事長が基調講演「今日におけるキリスト教学校の教学と経営」で、「戦後最大の教育政策の転換期に、キリスト教学校の教学と経営をどのように調和させるか」と問題提起をされた。また、分科会でも法人経営の問題が取り上げられた。

二〇〇四年度には国際基督教大学・鈴木典比古学長が同じく基調講演「キリスト教学校と経営」で、経営という概念には功利主義の考えに基づく経営概念と、倫理主義の考え方に基づく概念の二つがあることを指摘され、今後のキリスト教学校の経営を行っていく場合のあり方を示唆された。また、分科会でもパネルディスカッション「私立学校の経営体制―私立学校法改正への対応―」が行われている。

こうした流れの中で、今回の分科会では、「キリスト教学校と経営」についてのいわば各論として、各学校法人が経営基盤の確立のためにどのような課題を抱え、また、そうした課題の解決にどのように取り組んでいるかを報告していただいた。限られた時間ではあったが、西南学院からはキリスト教主義の魅力的な学校づくりの実践報告が行われた。また、各発題者から、キリスト教学校の強み弱みとは何か、民間企業から見た学校経営の問題点は何か、次世代に負担を先送りしない経営のあり方等々の大きな立場からの発題がなされた。

さらに、経営の根幹である人事と財務のあり方について、具体的な問題の指摘にも話題が及んだ。

人事政策としては、多様な雇用形態、教員評価、成果主義の導入等が、また、財務政策としては、収入の多様化、経費削減(企業経営と比較すると削減の余地は大きい)、アウトソーシング、募金事業等が取り組むべき課題として挙げられた。

分科会の後半では、報告をめぐって分科会の参加者も含めて質疑応答が行われた。

パネリストはそれぞれの学校法人で実際に経営に携わっておられる理事の方々であり、報告内容も実践的かつ具体的な内容であった。この機会にキリスト教学校が抱えている経営課題について、参加者の間で共通の認識ができたのであれば幸いである。また、経営上の今後の取り組みに関して、さまざまな示唆を得ることができて、大変有益であった。  

〈関東学院財務担当理事、関東学院大学教授〉
キリスト教学校教育 2006年01月号3面


キリスト教学校教育同盟