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第2分科会
現状認識論
古い規範の崩壊と学力崩壊への対処
中村 磐男

第二分科会は、「現状認識論 古い規範の崩壊と学力崩壊への対処」が主題となった。

基調講演を受けて、佐野正子聖学院大学政経学部チャプレンは「戦前のタテ社会は、戦後崩壊した。ヨコ社会は未だ形成されていない。いま、再び旧いタテ社会に戻ろうとする力が働いている。奈良県の医師一家家族殺傷事件は、愛情に飢えた子の姿を現出させている。家庭が変われば、子どもも変わる。教師が変われば、生徒も変わる。人間教育、約束教育、それらの根底にある人間社会の信頼回復には、キリスト教的犠牲愛が必要とされているのではないか。」と発題した。

ついで参加者から自己紹介をかねて感想・意見が述べられた。その一部を紹介したい。

・現代の共通の課題は「崩壊」である。しかし、その根は複雑である。

・コミュニティがずたずたに破壊された。大都市の虚構だけが残されている。生産が軽視され欠落し、消費だけが残った社会が出現している。この環境の中で、どのような教育が可能なのか。非行を起こさなかった生徒の事例研究も必要かもしれない。

・子の要求を親が先回りしすぎると、子は欲しいものがない複雑な欲求不満をおこし、感情が不安定となる。物質的に豊かな社会の病理現象を示しているのではないか。

・保護者が片親の生徒も多くなってきた。心に傷を負い、自分の居場所が見つからない。家庭から出て結果的に「出会い系サイト」などに居場所を求めようとする。生徒の一生が崩れかかっている。

・親元から離れたい生徒も少なくない。加えて学力面でも困難な生徒も多い。・無届けで飲酒を伴う場所でアルバイトを行う生徒もいる。事実を親は把握できていない。学校が親の問題、家庭の問題も抱えざるを得なくなる。

・家庭の問題は高校になっては手遅れの感がある。しかし、対応せざるを得ない。・両親揃っていても、親子のコミュニケーションがとれていない家庭も少なくない。メンタルの病も係わって問題は複雑になる。

・ひとり一人が大事にされる教育が必要である。現実は家庭の役割が壊れた両親のもとから、子どもたちが送られてくる。他方、各分野で市場原理が導入され、子供達の選択肢は狭められている。

・学生は偏差値で輪切りにされている。教育は格差の再生産をしている感がある。

・家庭崩壊が重大な課題である。結婚の時をとらえてカウンセリングを実施している。

・建学の理念は明確であるが、その浸透に苦労している。教師が具体的にどのように変わるかが課題である。

短時間であったが、分科会全員のご意見を伺えた。各先生方は誠実に、愛情を持って現実に対処しているが、なお、具体的方策を求めて苦悩されている姿が伺えた。このような先生方によって、キリスト教学校が支えられていることが印象づけられた。筆者の力不足から、分科会の雰囲気と感動を正確にお伝え出来ないのは残念である。

聖学院大学人間福祉学部長
キリスト教学校教育 2007年01月号5面


キリスト教学校教育同盟