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新教育基本法をメインテーマに

2006年度 第2回教研中央委員会開催


鈴木 齊

一月五日、東京ガーデンパレスにて二〇〇六年度第二回教育研究中央委員会が開かれた。今回は昨年十二月十五日に臨時国会で成立し、二十二日に公布・施行された「新教育基本法」が重要テーマであった。一八九九年の文部省訓令十二号による苦い歴史を刻んでいるキリスト教学校は、この局面をどう受け止め、どのように対応すべきなのかが問われている。今回の会合は、深谷松男先生(宮城学院院長)が講演(本紙一月号掲載)にて指摘されている「キリスト教学校の生命線である固有の建学精神と隣人愛に立った人間形成教育とに基づいた評価と対応する姿勢」の具現化を目指したものと言える。

同盟加盟校の中にはすでに「声明文」などにより、「新教育基本法」への憂慮と懸念を表明している学校があり、社会科で教育勅語を学んだ生徒たちが、「愛国心」重視の流れに「戦前のように心が強制されるのを嫌い」改正反対の意見書を首相宛に送付し反響を呼ぶ事態も出ている。

このような状況下ゆえに会合は二時より九時までの七時間に及ぶ熱い議論が飛び交う場となった。北垣俊一先生(山形学院)による開会礼拝の後、内山賢次先生(西南女学院)による「教育基本法について」、また倉松功先生(東北学院)による「キリスト教から見た教育基本法」の発題講演があった。発題要旨は本号七面に掲載し、ここでは委員の発言を集約し、教育研究中央委員会では「新教育基本法」をどのように受け止めどう対応しようとしているかに絞ってまとめた。

協議は発題者への質疑応答の形で進行していった。新教育基本法の分析と評価、改正がもたらすキリスト教学校への影響の危惧、学校教育の理念が損なわれる危険性などを指摘する発言が主であった。また今回の改正に対し自校の姿勢をどう示すか、また同盟としての姿勢を示す必要性を述べる発言もあった。しかし最終的には「新教育基本法第二条に盛られた『徳目』に対し、聖書ではどのように語っているのかキリスト教倫理の視点で指導できる指導書の作成が急務である」とし、作業部会の発足を提案する事で会合は終わった。

「新教育基本法」への評価と対応に関する発言から主なものをまとめてみた。

寄附行為について

多くの学校は寄附行為に「教育基本法及び学校教育法に則る」という字句があり、新しい教育基本法に則った教育実践を宣言する事になり戸惑っている。しかし我々キリスト教学校にとっては「教育基本法」に代わる立派な「建学精神」と培われた「伝統」が力と法であると誇りを持って言えるのではないか。「新教育基本法」がただちに私たちの学校教育の妨げになるのか、現時点では明確ではない。それゆえ今後の行政指導が、建学精神に基づく私たちの教育にとって何らかの圧力になってくるかどうか、注意深く見守る必要がある。

道徳・徳目について

新教育基本法第二条には数多くの徳目が明記されたし、現在「心のノート」の配布方法の申告も義務付けられてきている。新教育基本法に基づく「新指導要領」に「心のノート」が組み込まれてくる不安がある。我々キリスト教学校教育同盟では徳目に近い内容をキリスト教倫理に基づいて指導できる教材を早急に作成しなければならない。基本法改正に約六割の国民が賛成している現状がある。子どもたちの健やかな成長に相応しい社会となっていないと感じ、教育界にある不信感を抱いている表れでもある。それゆえ批判だけでは何の解決にも結び付かない。「道徳」「公共心」「愛国」などに関してもキリスト教学校は独自の指導書を作成する方向へ急ぐべきである。

愛国心について

「国旗」「国歌」は強要しないと言っていたが現実はそうではない。キリスト教学校にも実施を強要してくる恐れがある。この点に関しては、各校の「日の丸・君が代」の問題に対する姿勢を明確にする責任があるのではないかという意見と、地方自治体レベルの政策問題となるであろうから各校への行政指導も異なってくる、それを見定める必要があるとの意見があった。

その他

中等教育の場と高等教育の場では「新教育基本法」の受け止め方が違うように感ずるとの発言があった。

なお、教研中央委員会は、次回九月に開催予定であるが、事態の緊急性を考え、二月二十日に関東地区委員と各地区代表委員により常任委員会を開くことにした。


〈東洋英和女学院高等部教頭、同盟広報委員長〉
キリスト教学校教育 2007年3月号1面


キリスト教学校教育同盟