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第48回中高研究集会
発題要旨
十年の教師生活を振り返って
福田 一

 私は特殊な専門性やこれといった実績があるわけでもなく、ただ自分がこれまで年の教師生活で経験してきたことをお話しすることしかできませんが、できるだけ包み隠さず、どちらかといえば、失敗したり、辛かったことを中心にお話ししたいと思っています。

 私は実家が仏教だったので、教師になって初めてキリスト教に出会ったわけですが、聖書を読んだり讃美歌を歌ったりすることに抵抗感はありませんでした。教師として毎日を慌ただしく生徒とともに泣き笑いしながら過ごしていましたが、逆に言えば聖書の教えについて深く考えていなかったということでもあります。様々な場面で生徒たちから教えてもらうことがありました。自分がキリスト教主義の学校に勤めていることの意味を真剣に考えるきっかけを与えてくれたのも生徒でした。ある時(クリスチャンの)生徒から、「先生はクリスチャンじゃないのに礼拝の時間とか違和感を感じたりしないんですか?」と聞かれたことがあります。おざなりの答えを言ってその場を過ごしましたが、確たる信念を持っているわけではない自分に気づかされました。

啓明学院は以前は女子校で、二〇〇二年度より中学から六年一貫の共学部が始まりました。共学となるに際して、教職員はもとより生徒、同窓、啓明に連なるひとりひとりがあらためて建学の精神や創立者の想い、啓明の将来について深く考えていく契機が与えられました。「手と心は天にいます神と地上の人々に仕えるために鍛えられる」「人生の本分は奉仕することである」「他者への思いやり」これら啓明の精神があらわされている言葉をしっかりと胸に留め、日々の学校生活で生徒とともに頑張っていきたいと思っています。

 教師となって一番うれしかったことは、やはり卒業生を送ったときです。生徒や保護者とうまくコミュニケーションが取れず、思い悩むことも多々ありましたが、自分の関わった生徒たちが卒業して活躍している姿をみると、まだまだ経験は浅いですが、教師をやってきて本当によかったと思います。

いままで十年の教師生活で大きな転換点となったことの一つに、啓明以外の先生方との出会いがあります。今から六年前に、キリスト教学校教育同盟関西地区夏季合宿研修会(やまじゅう)に参加しました。寝食をともにし、ざっくばらんな雰囲気のなかで、自由に忌憚のない意見を交わして他校の先生方と交流したことは貴重な経験となりました。わたしはその時、クラスで悩んでいることについて相談したのですが、日本各地から来られた先生方が親身になって一緒に考えて下さり、様々なご助言をいただきました。大きな勇気を与えてくださったことに心より感謝しております。

 最後に、私が心に留めている一節(作家D.Chopraさんの文章を捩ったもの)をご紹介させていただきます。失敗だらけで毎日悩み、悪戦苦闘している私ですが、神様から与えられたこの一瞬一瞬を大切にして頑張っていきたいと思っています。

The past is a history, the future is a mystery, and this moment is a gift from God.  That is why this moment is called ‘the present.’

〈啓明学院中学校・高等学校教諭〉
キリスト教学校教育 2007年5月号3面


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