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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

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キリスト教学校教育バックナンバー

関東地区 中高研究集会
今、キリスト教学校の果たすべき使命とは

小川 正夫

 第二十一回関東地区中高研究集会は各地十六校から二十九名の参加者があり、十一月二十六、七日の二日間、ホテル箱根アカデミーハウスで行われました。

 夏に行われる初任者研修会には、毎年多くの新任教職員が参加され、若々しい希望に満ちた表情で活発に意見交換し、交流を深め、夫々の現場に成果を持ち帰り、日々活躍しておられます。

 今回の研究集会は、初任者研修会参加者のリユニオンも兼ねて、教育の現場で十年以上にわたり十代の若者達に影響を続けてこられた教職員が対象でしたが、各主任、教頭の任にある方々が多く参加され、意欲的な討議が行われました。

 研究集会の主題は「今、キリスト教学校の果たすべき使命とは」で、研修委員小川正夫(聖ステパノ学園長)より「キリスト教学校で教育に携わる私達は、今」「私学でこそ志学」のテーマで発題があり、中堅教職員の役割と使命について奨励がありました。

 凡そ一時間半の話を要約してみますと、

 私学の特色である創立の精神を具体的に教育の現場に実践する勇気を示すこと。

 それを支える財政的基盤を確かにする為に優れた魅力ある教育の実績を示すこと。

 目に見える形で、充実した特色を新しい伝統として創り出す行動力を示すこと。

 自ら進んで礼拝に参加し、謙虚な心で共に祈り共に歌う姿勢を示すこと。

 学ぶ姿勢が在るところに教育者の資格があることの意味を実際に示すこと。

 このような、ごく当たり前のことに確り向かい合う姿勢が大切だとしています。

 更に続けて、私達の学校のいわば憲法ともいえる寄付行為や学則の第一条には、明確に、キリスト教の精神、あるいはキリスト教の信仰に基づき、教育基本法、および学校教育法に準拠して教育を行うという一文があるはずですから、教職員はキリスト教の信仰があるなしに関わらず、キリスト教に理解がある人という採用の条件があったことを反省自覚することとしています。

 少子化に伴い、深刻な経営状況におかれている私学が増加しており、対策のためにキリスト教学校がキリスト教を後退させたいという意見もありますが、それは存在の意味を否定することになります。

 勿論、伝統に従って今まで通りにという考えではなく、大切な心得は、教職員が自分で少しずつ自分を変えながら、建設的に自分達の将来を創り出す努力をしていくことが必要なように、学校の将来も守り続けていくことであって、変えるべきことは変える勇気も必要ですが、もっとも大切なことは、キリスト教学校の存在の意義は、そこに、キリスト教が存在しているということを忘れてはならないのです。

 素質向上の可能性から見て黄金時代といわれる十代の若者たちの前に立って、その素質を生かすも閉じ込めるのも学校教育の現場で影響を与え続けている教師だとすれば、教師一人ひとりの素質が問われるのは当然だという緊張感が大事です。

 教師であるだけで権威があるわけではなく、寧ろ、どれだけ役に立つことができるかが力量として問われるわけです。

〈聖ステパノ学園長〉

キリスト教学校教育 2005年3月号6面