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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

Assocition of Christian School in Japna Since 1910

キリスト教学校教育バックナンバー

東北・北海道地区

杜の都、広瀬河畔に与えられた実り豊かな3日間

地区教育研究集会中高部会

浅野 純

十月二十七日から二十九日にかけ、仙台にて二〇〇五年度の地区教育研究集会中高部会が開催された。開会礼拝、聖光学院高校宗教主任の小野厚子先生のメッセージ、「誰にも奪われることのない神からの光を掲げてキリスト教主義学校も歩んでいきたい」との励ましに、参加者・学校・生徒と教職員がそれぞれ「地の塩・世の光」であることの恵みと使命とを改めて思い起こしつつ、プログラムが始まった。

地区代表理事・東北学院学院長の倉松功先生から「キリスト教学校は固有性を発揮して歩んでいかなければならない。それぞれの特色を掲げつつ、礼拝と聖書の授業に力を注ぎ、一つのキリストを証しする必要性がある」との力強い開会挨拶の言葉を戴いた後、日本基督教団仙台北三番丁教会・酒井薫牧師の「キリスト教主義学校と教会との連携プレーの可能性―安心・信頼・協力・共育―」と題された講演が行われた。

 東北学院中学・高等学校・大学で教鞭を取っておられる酒井牧師は、実際に学校と教会とを往復される経験のなかから、それぞれの期待を結び合わせるために、互いにできることは何かということを問いかけられた。教会においては少子高齢化、学校においては生徒減少という現実にあって、なおやり残されている「できること」―連携プレー―に取り組むのがこれからの時代である。さらに両者の連携のために「地域のクリスチャンが安心して行かせられる学校、クリスチャン教師の活躍の場となる地元の教会、信頼される学校」となることを目指し、教会とキリスト教学校とが、互いにより強く受入れ合っていくことを通して「安心・信頼・協力・共育」の共有を実現する歩みが開かれていくとの、大きな希望を与えられる講演であった。

夕食後、聖書科担当教師が集まる聖書科部会では「今、聖書の授業」という継続テーマに則し、尚絅学院女子中学・高校の佐藤洋晴先生(宗教部主任)からの話題提供、「尚絅の聖書の授業の、過去・現在、そして将来の展望」を受けて、各教師が担う聖書科教育の現状と課題を認識し合うことができた。授業の在り方についての意見交換も活発に交わされ、限られた時間に話が深まることが例年のこの会の特徴である。

 二日目の朝、バスに乗って今回の当番校である尚絅学院女子中学・高校に向かう。学校礼拝に参加して生徒と共に主を賛美する時間は、この研究集会に毎回与えられる大きな恵みである。チャペルから会議室に移動して、学校報告。互いの理解を深め、課題を共有し合う大切な機会として毎回用意されるこのプログラム、今回は聖光学院高校・東奥義塾高校・北星学園女子中高校の三校の報告である。聖光学院は小野厚子先生が、「進路(就職)指導上の実践」の取り組みを中心とした教育の現状報告。東奥義塾高校は宗教主事の阿部義也先生が一年間を通してのキリスト教活動・宗教行事を紹介。北星女子中高は教頭の清水和重先生。六ケ年一貫教育と高大連携教育の立ち上げ・取り組みの実情と課題が語られた。

午後は尚絅学院女子中学・高校の歴史や教育の姿を学び、授業風景や施設設備の校内見学を行い、広瀬川を横に眺めて青葉城跡ふもとの紅葉を楽しむ散策を兼ねて、近隣にある仙台東三番丁教会を訪ね、会堂での落ち着いたひとときを過ごした。

 夕方から行われた教育研究委員会は十八名が参加。教研中央委員会や中高全国部会などの報告に続いて、二〇〇六年度の中高部会研究集会について協議した。主題は「キリスト教教育の本質と課題(12)」とし、十月二十六日~二十八日の日程で酪農学園とわの森三愛高校を当番校として実施することを決定した。

最終日は東北学院榴ケ岡高校の杉本勇先生(校長)の礼拝で朝を迎えた。「希望という光」と題された奨励から、「闇」を多く抱える今日の状況のなかで学校も生徒も苦しみ悩みを背負っているが、だからこそ苦難を希望に変えていく神の恵みに支えられて歩む教育が求められているとの示唆を受ける。

全体会は聖書科部会や教育研究委員会などの報告に続いて、参加者の情報交換・意見交換が行われた。生徒数減少や生活指導についての現状に関わる多くの課題が投げかけられた。主題である「キリスト教教育の本質と課題」を共に担っていくことを参加者は改めて心に留めたことと思う。

閉会礼拝では東北学院中学・高校の松井浩樹先生(宗教主任代行)から、「二人の息子のたとえ」をテキストに「キリスト教学校の再生」と題する奨励を受けた。神が望んでおられるものは何か、それに対してどう「考えなおして」いくべきなのかをわたしたちは絶えず考えていなければならない。同じ思いを持ちつつ「共にぶどう園を耕す」者としてのわたしたちの在り方についての力強い示唆である。神からの期待に応えるわたしたちであるために真にあるべき歩みを進めていかなければならない思いを強くして散会。それぞれの現場への帰途についた。参加者十一法人十四校より三十二名。学びと親睦を深め合う実り豊かな研修のためにご尽力くださった当番校の尚絅学院女子中学・高校の方々に深く感謝したい。

〈北星学園女子中学校・高等学校宗教主任〉

キリスト教学校教育 2006年1月号4面