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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

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キリスト教学校教育バックナンバー

関東地区 第22回中高研究集会
「今、キリスト学校に求められているもの」

平塚 敬一

 二〇〇五年十一月十八日・十九日、第二十二回となる関東地区中高研究集会が十六校から二十七名の参加者を得てホテル箱根アカデミーで開催された。

 社会が大きく変化し、キリスト教学校の理念もそして現実も極めて困難な状況の中で、「今、キリスト教学校の果たすべき使命とは」のテーマのもと水口洋氏の発題、分団及び全体会は勿論のこと夜を徹しての番外のプログラムでも熱く議論を交わした。

 集会直前に、静岡で十六歳の女子高生が母親に薬物を飲ませ続けていた事件、東京の十六歳の男子高生が同学年の女子高生を殺害するという事件が起こり、朝日新聞素粒子の「『人は十五、六の時、たくさんいろいろの事を考える』と言った人がいた。考えてもいい、行うべきでないこともたくさんある」との記事が目に留まった。キリスト教学校も経営に苦労している。しかし、今こそ我々は「どんな人間を育てるのか」ということに目を向け、キリスト教学校の使命を果たして行くべきであろう。

 和田道雄委員(明治学院中・東村山高)の開会礼拝の後、水口洋委員(玉川聖学院)が発題された。水口氏は、キリスト教学校の最大の特性はキリスト教に見られる豊かな創造性に立脚していること、卒業生たちの多くが社会の先駆けとなり平和・解放・福祉などの分野において秀でた業績や貢献をしたことが過去の遺産として認知されてきた一方、教会との関係が希薄なままに教育を展開してきたことが世俗の論理を優先させてきたのではないかとの問題意識を持っていると述べられた。また、「キリスト教教育」はこれだと社会に自信をもってアピールするものを考えること、単に伝統や形式を守るのではなく礼拝の活性化が本質的な課題となること、さらに今の時代にこそキリスト教学校同士の連携を図っていくことが必要であると話され、キリスト教学校を担う若い教師たちが互いに危機意識を共有するだけでなく、明日のキリスト教教育のビジョンを描き合うことができればと期待をこめた言葉で結ばれた。

 特に数年前から将来のキリスト教学校を担う中堅教師の研修が急務であるとの認識で各学校に勤務して十年前後の教師にも参加してもらうように案内している。この分団では、キリスト教学校の独自性をいかにして打ち出していくべきか、建学の精神の現在化にはどのようなことが必要なのか、学校礼拝の活性化に向けてどのような工夫をしたらよいのかなど熱心な議論を展開した。

 翌朝の全体協議の中で、各学校が独自性を打ち出すことで伝統の再発見ができるのではないか、豊かな人間に成長させてほしいという保護者の期待に真剣に応えるべきではないかなどの意見が出された。さらに、参加した教師が課題としている生徒や保護者との関わり、学校における教師の健康管理、教科内の研修や公開授業などさまざまな考えを出し合った。特に二年前から始めている関東地区中高公開授業は、今後一層参加者を増やし、授業力を高める機会として広げてほしいとの強い要望があった。

 小川正夫委員(聖ステパノ学園中)の集会を閉じる祈祷で無事に終え、遣わされた学校に戻るべく参加者は箱根の山を下った。

〈立教女学院中学校・高等学校校長〉

キリスト教学校教育 2006年3月号6面