キリスト教学校教育バックナンバー
中高聖書科研究集会
今日における聖書科教員の役割
関東地区
野田 美由紀
関東地区の中高聖書科では原則として年二回の研究集会を開催してきたが、事情により二〇〇三年度途中から会を行うことができなかった。新年度の委員会は会の再開を目指して準備をし、去る一月二十七日~二十八日にかけて一泊の研究集会を開催した。
今回は多くの同労の聖書科教師が顔を合わせて共に語り合うことに主眼を置き、会場も集まりやすさを第一として東京・市ヶ谷の私学会館アルカディア市ヶ谷に定めた。そして、中高に限らず、地区内の小学校で聖書科を担当する教員にも参加を呼びかけた。そのかいあってか、部分参加も含めて二十七名という近年にない多数の参加があり、あらためてこのような機会が待たれていたことを実感させられた。
主題は「今日における聖書科教員の役割」とし、長年聖書科を担当してこられた茨城キリスト教学園の藤山修先生と女子学院の三宅宣幸先生にそれぞれの教育実践の中から発題をして頂いた。藤山先生の発題では、まず「高度消費社会」の中に生きる生徒の状況、「島宇宙化」「総おたく化」現象の中であらゆる価値が相対化される時代の宗教教育の難しさといったことが話され、次いで茨城キリスト教学園での聖書の授業の実践について話された。また、三宅先生は、二十年間の聖書科教員、宗教教育担当者としての働きを振り返りつつ、キリスト教学校とは何かということ――学校が建学の精神としてキリスト教を標榜しているという面と共に、神がこの世で御業の前進のために用いられる学校であるという面から、学校や教師の働きを見直す必要がある――、そこに召されている聖書科教員は「祭司的機能」「預言者的機能」を果たすべき役割をもっている、といったことを話された。どちらもよく準備された発題であり、参加した聖書科教員も様々な刺激や問いかけを与えられた。
夕食時の懇談も含め、一日目、二日目と発題をめぐっての質疑応答や意見交換が活発になされ、授業の導入に関する工夫、評価の仕方、聖書科の教師の存在意義など、多岐にわたる、しかも多くの教師に共通する問題が話し合われた。全体として、会の目的に適ったよき学びと交わりの時をもつことができたと言える。今後は以前のように年二回の研究集会を企画し、より多くの同労者が参加されることを目指していきたい。
なお、二〇〇六年度の第一回研究集会は六月二十四日(土)女子学院同窓会館において開催する予定。
〈フェリス女学院中学校・高等学校宗教主任〉
キリスト教学校教育 2006年4月号2面