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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

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キリスト教学校教育バックナンバー

第47回中高研究集会

主題「人をはぐくむキリスト教学校
-建学の精神を共に担う-」

榮 忍

 寒さの残る北海道札幌市シェラトンホテル札幌を会場に、第四十七回中高研究集会が三月二十七日から二泊三日の日程で行われた。各地より三十五名が集い、教研テーマ「人をはぐくむキリスト教学校―建学の精神を共に担うー」の下、研修と交流の時を持った。

 「迷い出た羊のたとえの中に、教師としての心構えの原点を見る」と開会礼拝で北垣俊一氏(山形学院高)は語り、生徒が学校をやめていく悲しみを抱える時、一人の個人に深く関わって行く主イエスの眼差しに支えられる、とメッセージを示された。

 主題講演講師・福島恒雄牧師は、長年北海道のキリスト教史研究に取り組まれ、その成果の中から「アイヌ民族の教育に情熱を傾けた人々」との題でお話しいただいた。ジョン・バチェラーを中心に、当時の聖公会がアイヌ民族に深い愛情を注ぎ、ただ教導するのみでなく学ぶ姿勢を持っていたと言及された。講演には近隣の聖公会から二名の教職、また、釧路・春採アイヌ学校で教師を勤めていた永久保秀二郎の研究者、中村一枝氏も来会され、有珠聖公会資料館の紹介や研究著書の寄贈を受けるなど、交流の時ともなった。

 発題は会場地区以外の三地区の担当となる。関東地区から杉村みどり氏(女子学院中高)は、国語科における授業実践と生徒の応答の変遷を通し、模範解答好きで抽象への理解が苦手な傾向が強まっている中で、教科を通して神を思考する方向へ向かえるか、その葛藤が示された。

 関西地区から八尋孝一氏(関西学院高)は、「何を語るか以前に、どのような存在として生徒の前に立つか」を問い、「礼拝する存在として立つ」と言う視点からの取り組みを、世界史の授業さらに他教科と共同で行うテーマ授業に活かしている様子が報告された。

 西南地区から神田道彦氏(活水中高校長)は、「原点へ戻って前進―継承と変革―」との視点で学校経営を行うことについて、迅速で誠実な対応の必要性、最高の教育を施す自負とそれを維持する体制を語られた。

 以上の講演・発題を受け、三分団で協議。参加者各自の抱える課題と照らし合わせての話合いは、予定していた時間が足りないほどのものとなり、最終日の全体協議に臨んだ。

 全体協議では、主に、学校礼拝を生徒に意味づける際に問われる教職員の参加姿勢・学校施設の日曜利用・授業改革等を中心に活発に意見交換がなされた。建学の原則に立ち、質の高い教育を提供する意識が肝要であることを確認させられた。

 朝礼拝の担当は、二日目は指宿力氏(啓明学院中高)。十年前の阪神淡路大震災の経験から、「主にあって一つ」とされることが活力となることをコロサイ書から語られた。

 三日目は坂東資朗氏(西南学院中高)より、金持ちの青年のたとえを通して、自分の力で定められない自分の命であるが、自分の一部を割く勇気をもって与える時に新たな世界が開かれることを、ホームレス支援活動の経験と重ねて語られた。

 閉会礼拝は黒澤裕子氏(捜真女学校中高)の担当で、使徒言行録・第二テモテから、自己肯定感の薄い生徒にも、主イエスが共にいて下さって、神が補って下さることに信頼を置く大切さを示すメッセージを聞き、雪の降り積もる中散会した。

〈とわの森三愛高等学校宗教主任〉

キリスト教学校教育 2006年5月号3面