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新たな時代におけるキリスト教学校の使命と連帯-いのちの輝きと平和を求めて-

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

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キリスト教学校教育バックナンバー

キリスト教Q&A

教会

堂本 陽子

 ヨーロッパにいくとどこの町にも必ず立派な教会堂があります。日本にもいろいろな雰囲気を持った教会を見かけます。けれども、教会の素顔があまり見えてこないように思います。そこで、今回は「教会」をテーマに疑問を取り上げてみました。

Q1 教会はいつごろどのようにして誕生したのですか?

A 教会の誕生日と言われている「ペンテコステ(聖霊降臨日)」という日があります。使徒言行録2章によれば、「五旬祭の日が来て、一同が一つになって集まっていると、突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。そして、炎のような舌が分かれ分かれに現れ、一人一人の上にとどまった。すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話しだした。」とあります。聖書の「風」とは「霊」をも意味する言葉なので、イエス・キリストを信じた人びとの中に神様の霊が吹き降り神様の力に満たされ、言語や民族の違いを超えてイエス・キリストのもとに心が一つとなった共同体が誕生したわけです。これが教会の始まりとなりました。

 キリスト教が禁止されていた江戸時代、隠れキリシタンたちはキリスト教暦が使えなかったので、ツバメが空を飛ぶのを見てペンテコステの訪れを知ったそうです。風に乗って自由に飛び回るツバメの姿に、神の霊の力を受けて生き始めた教会の誕生を重ねていたのでしょうね。

Q2 なぜ教会は日曜日に礼拝をするのですか?せっかくのお休みなのに、ゆっくり休みたいと思わないのでしょうか?

A 毎日忙しく慌しい生活をしている私たちは、やはり一週間に一度ぐらいはゆっくり体も心も休ませる時間が欲しいものですね。英語で休日とは「Holiday」と表しますが、これは「Holy-Day」ですね。休日は「聖なる日」なのです。キリスト教はイエス・キリストが復活した日曜日を聖日として礼拝を捧げます。ユダヤ教では土曜日が聖日であり、イスラム教では金曜日になります。このため3つの宗教が入り混じる中東アジアでは金曜日から日曜日は仕事にならないと聞きます。

 また休暇「Vacation」の動詞は「Vacate(空にする)」という意味ですし、休暇の楽しみ「Recreation」は「Re-Create(再び創造する)」となります。本来、休息とは心を空にして新しく創造される聖なる日なのです。教会は、礼拝や交わりを通して、疲れきった心を空にして神様の霊を吸い込み新しく創造される時であり場なのです。もし、日本にキリスト教が伝えられていなかったら、私たちは江戸時代のように盆と正月しか休めなかったのかもしれませんね。

Q3 クリスチャンの先生から「教会に行くと楽しいよ」と言われたのですが、教会の楽しさがあまりよくわかりません。教会の魅力を教えてください。

A 教会では、礼拝のほかに食事会・コンサート・展覧会・バザー・キャンプ・映画鑑賞会・奉仕活動・勉強会など様々なイベントが行われます。それだけでも十分楽しいのですが、それ以上の魅力は教会の人々との交わりでしょう。しばしば教会の多様性を「ゆりかごから墓場まで」と表現することがあります。これは幅広い世代が集まっているからです。また社会的立場や生活環境の異なる人々の集まりであることから「社会の縮図」ともいわれます。自分の知らない世界や専門外の話を聞いているとたくさんの刺激や新しい発見が与えられます。違いをもった人々が神様を中心に一つとなっている世界は、とても刺激的で豊かな世界なのです。教会が多様性をもっていることは、神様の霊の力がたくさんの人の魂に注がれ働いている証拠といえるでしょう。ぜひ教会の出会いと交わりを通して魅力ある日曜日を過ごしてほしいと思います。

〈桜美林中学校・高等学校チャプレン〉

キリスト教学校教育 2006年7月号4面