loading

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 一般社団法人キリスト教学校教育同盟

新たな時代におけるキリスト教学校の使命と連帯-いのちの輝きと平和を求めて-

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

Assocition of Christian School in Japna Since 1910

キリスト教学校教育バックナンバー

第51回小学校教職員協議会

幅広く深く学ぼうキリスト教学校の意味
-わが校が大切にしている教育実践-

山本 香織

 梅雨空の続く日々の中、不思議なくらい明るく晴れた、六月十七日土曜日、第五十一回小学校教職員協議会が開催された。今年の会場は、海に臨む横浜市・金沢八景の関東学院六浦小学校。参加者は三百五十八名(参加十八校、他に幼稚園七園、小学校設置準備室一校)と、これまでで最大規模の集まりとなった。

 開会礼拝では、関東学院六浦小学校児童聖歌隊の澄んだ歌声による、「感謝します」の賛美の後、松本昌子関東学院学院長による、「子供のように神の国を受け入れる」というメッセージを伺った。従来「子供のように」の解釈として、「大人にはない子供の純粋性」が言われるが、先生はそれを超える意味を語られた。イエスがなぜ子供たちを深く祝福したか、それは「子供力」を見ておられたからなのである。「子供力」とは、「人間力」ある大人になるための根底に必要なもので、子供が全面的に受容され、愛され、信頼され、大切に育ったところで養われ、そうした子供は人生に対して肯定的に向かい、妥協を許さず、曇りなく、かたくななまでに正義を貫く人間となるのである。その「子供力」は、自分はいつも神に愛され、見守られている「宝」だと知るところで生まれるのであるから、キリスト教学校の使命、責任が問われることになる。私たちは子供たちに、神に選ばれ、愛され、導かれ、信仰をもって生き、次の時代を形成して行きなさい、と幼心に植えつけ、魂にたたき込み、世界を変える「子供力」を培っていかなければならないのである。その場である幼稚園、小学校を、すべてのキリスト教学校が持ってほしい、と先生は力強く語られ、一同、その使命を全うする力を神に求める祈りに、心を合わせた。

 次に、小学部会委員長、佐藤勇捜真小学校校長の挨拶、内藤幸穂関東学院理事長の挨拶があり、その後関東学院六浦小学校の島田正敏校長による挨拶・講師紹介があった。

 今年の全体会講演は、関東学院大学文学部比較文化学科、森島牧人教授による、「キリスト教学校の伝統と奉仕教育―関東学院におけるセツルメント運動とサービス・ラーニング―」であった。先生は大学で教鞭をとられるかたわら、日本バプテスト同盟捜真バプテスト教会牧師も兼ね、大学では毎年学生を連れ、タイの山奥での奉仕活動にあたられ、またヨット部の顧問もされている。その先生ご自身の豊かな体験から考え抜かれた、キリスト教学校が存在する意味と、そこでの教育の意味について、伺うことができた。

 まず先生は、キリスト教学校がどう進み行くべきかを示された。ヨットが逆風でも走るのは、気圧の差によって「引っ張られる」からである。キリスト教学校も、いつも順風満帆とはいかず逆風の時もあるが、その時は、神が引っ張ってくださることで進むことができるのである。また船は、コンパスの正しい作動を確認せず、大海に船出はできない。同じようにどこへ向かって、どのように出て行くのか、心のコンパスを不動のお方に合わせないで、私たちも進めない。それらのために、礼拝こそ私たちの教育の中心にあらねばならず、キリスト教学校で学ぶ者たちが、礼拝から派遣されることこそが大切なのである。

 そして真の神との出会いは、人をさらに他者への奉仕へと向かわしめるとして、関東学院の建学の精神である、「人になれ、奉仕せよ」を具現化する教育活動について教えられた。

 昭和の初め、横浜市内の長屋に始まった「関東学院セツルメント」は、そのコミュニティに一緒に住み、友として接することを目指した活動であり、決して社会的強者による、上からの救済行為ではなかった。活動を記録した写真も映し出される中、その歴史と理念とを伺った。関東学院セツルメントの創設者の一人、渡辺一高師が教えられたように、行為の伴わぬ信仰、信仰の伴わぬ行為は無意義なものであり、またセツルメントは、隣人に対する具体的な行為の中で、人が「人間」になる道場でもあったのである。

 セツルメントは時代の流れの中で、左翼的活動と見なされるなど、一九三五年には閉鎖を余儀なくされる事情となった。しかしその精神は関東学院の今日に受け継がれ、サービス・ラーニングという観点から、建学の精神の具現化へと教育実践を導いている。キリスト教学校が教育の射程を置くのは、単なる教室での学びではなく、実体験に裏付けられた、身体性を持った知恵を養うことだからである。その一つの例として、タイ国チェンマイ山岳地区少数民族(カレン族)への国際ボランティアが紹介された。

 関東学院六浦小学校では、一九九四年以来、チェンマイより車で六時間のチバレ地区(ティワタ村)のために支援を続けている。カレン・バプテスト教会の働きで、ティワタ村には、家が遠くて学校に通えない子供たちのための教会寮がある。学校を挙げて支援する中で、二〇〇三年には、新しい教会寮完成の献堂式に合わせ、児童三名が参加する「第一回タイ訪問団」が結成された。また二〇〇四年の第二回のタイ訪問は、関東学院大学文学部国際ボランティアプロジェクトのサポート隊と合同でなされた。映像での記録も拝見し、全く異文化の世界に飛び込んだ小学生たちが、言葉は通じなくても、次第に心を通じ合わせていく姿、賛美の仕方は違っても、共に一人の神様を礼拝している体験などが印象的であった。関東学院では、本年八月に「サービス・ラーニングセンター」の設立が予定され、学院挙げてのサービス・ラーニング構築の試みをなされている。この講演を通し、キリスト教学校が目指すべき大切な教育理念について、実践報告を通して学ぶことができる貴重な機会を一同得ることができた。

 昼食は大学棟十階の、見晴らしのよいホールに移り、本協議会始まって以来の立食ビュッフェスタイルでいただいた。話の弾んだなごやかな一時であった。

 午後からは再び会場を小学校に移し、十二の分科会に分かれ、それぞれ実践報告や発題をもとに、有意義な話し合いの時を持った。

各分科会のテーマは次の通りである。

1.キリスト教学校に仕える教師
2.作物を育てる学びを通して知る神様の大きな恵み
3.青山学院初等部の食事
4.低学年による奉仕活動
5.国際交流のあり方について
6.平和をともに
7.国際交流と奉仕の実践
8.関西方面フィールドワークについて
9.自己表現と他者理解
10.「動物介在教育」の試み
11.一人ひとりを大切に育む
12.生き物にふれる

 志を同じくするキリスト教小学校の教師たちが相集い、キリスト教教育の理念を学び、他校の試みを知ることで、新たな刺激を受け、それぞれの持ち場に遣わされていくことのできた、有意義な一日であった。

〈東洋英和女学院小学部教諭〉

キリスト教学校教育 2006年9月号4面