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一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

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キリスト教学校教育バックナンバー

第50回事務職員夏期学校
全体会のまとめ

遠田 育子

主題=「キリスト教学校で働くとは?」 日時=7月29~31日 会場=御殿場・東山荘 主題講演要旨・聖日礼拝説教・キリスト教入門特別講義要旨等は9月号をご覧ください。

 全体会はグループ毎の発表・質問・感想の後、先生方からコメントをいただく形式で行われました。先生方の講演に関しては前号に掲載されておりますので、ここでは参加者の感想と先生方のコメントを中心に報告いたします。

主題講演について

 池田先生は経済界の重鎮となられたかたであり大変感銘を受けました。キリスト教による倫理観の重要性を学びました。新渡戸稲造の「武士道」の話など、理解しやすい内容でした。

 逆ピラミッド型組織の一番上に来るのは、学生だと思い、教職員がサーバントに徹する大切さを実感しました。常に謙虚な気持ちで奉仕の精神を持ち接することが大事だと思いました。倫理面でのキリスト教学校の大切さと期待の高さを痛感しました。ノンクリスチャンでもキリスト教学校を支えることが出来るということで安心しました。信仰の有無の区別なく、建学の精神を理解して働くこと、建学の精神やスクールモットーを学生にどう伝えるかを考える必要を感じました。

 構造的経済不況の業界という池田先生の話から、学校は神から託された使命に答え、時代や社会の変化に対応していくタフさ、強さが必要なのではないかと思いました。

講義「キリスト教入門」について

 訓令十二号の話から、弾圧されたキリスト教の歴史を知ることができました。歴史から先人たちの苦労や想いを学び、覚えていくことが大切だと思いました。このことを知って働くことは、知らないで働くよりも大きな違いを与えるのではないかと思いました。

 教職員などの内側からの圧力で、キリスト教学校としての特色が薄れていないだろうか、と警鐘を鳴らしていただいたのではないかと思います。また、現在検討されている教育基本法の改正など、今後キリスト教教育を守り続けられるかに危機を感じ、早めに対策を考える必要性を感じました。

全体的な感想として

 他の学校にはない建学の精神を全教職員が、振り返ってみることが大切だと思いました。建学の精神を、特にノンクリスチャンが学生や社会に伝えていくことに大きな説得力があるのではないかと思いました。

 生き残るためには社会から必要だという評価を受けなければならないでしょう。私たちの理念、建学の精神を社会にはっきり言えることが大事なのではないでしょうか。

先生方からのコメント

倉松先生から

 サーバントリーダーシップは大切な精神であると思います。しかし、リーダーが自分たちの理念、ビジョンを打ち出すということも大切であると思います。

 キリスト教学校として最も大事な二つのことがあります。それは礼拝と聖書・キリスト教の授業です。よりよい時間帯に礼拝を行い全員が参加できるように、授業は内実を豊かにしていくことが大切です。

 キリスト教学校の存続が難しいという意見に対してですが、そこを卒業した同窓生が近代国家を作り活躍していること、それが地域に受け入れられているということに感謝と自信をもってよいと思います。キリスト教教育に誇りを持ち、ノンクリスチャンがそれを伝えたら、生徒たちにとって大変プラスになることでしょう。

富田先生から

 倉松先生が十分にお話をされましたので私が付け加えることはありませんが一つだけ、参加者の方の「聖書の言葉は永遠に変わらない」という発言についてですが、聖書の言葉は変わってきています。皆さんが使っている聖書は一八八七年の新共同訳ですし、その前には口語訳、文語訳などの聖書があります。翻訳にもそれぞれ違いがあります。「永遠に変わらない言葉」ではないのだけれども、キリスト教にとっては最も大切な「基本文書」、それが聖書だということです。

気賀先生から

 事務職員の方の愛校心は、教員よりはるかに高いということをこの三日間で知りました。学校の運営はこの人たちにあるのだと私は感じました。

 今度の教育基本法の改正は訓令十二号の二の舞であると留意しております。そして外圧からはすり抜けることができても、内側から建学の精神が変質したらあっという間に形骸化して、手段が目的化してきます。存立の意味、歴史認識をしっかり持っていただきたいと思います。

                  ◇

 今年も夏期学校を無事終えたこと、その五十回の積み重ねを主に感謝いたします。

〈東北学院大学総務部研究機関事務課〉

キリスト教学校教育 2006年10月号4面