loading

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 一般社団法人キリスト教学校教育同盟

希望と喜びに生きる-新たな転換期に立つキリスト教学校-

一般社団法人キリスト教学校教育同盟 Association of Christian Schools in Japan Since 1910

Assocition of Christian School in Japna Since 1910

キリスト教学校教育バックナンバー

第3分科会
教育主体論
キリスト教教育の時代の担い手の発掘と経営

菊池 順

 第三分科会は、教育主体論「キリスト教教育の次代の担い手の発掘と経営」というテーマで話し合いがもたれた。

 初めに、聖学院大学人文学部長の寺田正義教授から発題という形で聖学院諸学校の現状についての報告がなされた。現在、聖学院には一つの小学校、二つの中学高等学校、そして大学・大学院・総合研究所があるが(それ以外に二つの幼稚園と、米国に一つの幼稚園・小学校がある)、そこにおける採用人事のことからクリスチャン教諭・教員・職員の割合などについての報告があり、全体の話し合いは、その三分の二ほどが、この報告をめぐる質疑応答となった。その応答には、発題者の寺田教授に加え、本分科会のメンバーでもあった小倉義明聖学院副院長(女子聖学院中学校高等学校長)が当たった。

 その中で、関心が寄せられた事柄は、一つは人事のことであった。特に採用人事をめぐっていくつかの質問があった。たとえば、聖学院大学では一般応募という形ではなく「内部推薦」という形を取っているが、そのやり方やそのメリット・デメリットについて、また採用に当たりクリスチャンであることを優先するのか実力を優先するのか、また採用権をめぐる組織の仕組みについて等々、具体的な質疑があった。またクリスチャンとノンクリスチャンの関係について、あるいはクリスチャン・コードの善し悪しについて、またキリスト教教育の具体的内容について質問や意見が出された。

 また、そうした発題をめぐる話し合いから、残りの三分の一くらいは、それぞれの学校が抱えている問題が提示され、特に地方の諸学校におけるクリスチャン教員の深刻な不足が話題となり、それに向けての具体的な提案や意見交換が行われた。

 たとえば、教職課程をもっている大学はどういった教職課程をもち、どういった教員養成を行っているかといった情報を該当する諸学校に提供してほしいとか(それに対してはすでに行っている大学があるとの返答もあった)、あるいは教職課程を取っている学生にキリスト教に関心を持ってもらうよう努力・工夫する必要があるとか、あるいはインターン制度のようなものを導入し、大学在学中に、たとえば中高で放課後に学習の手伝いをするとか、学校行事にヘルパーのような形で参加するとかし、そういった経験を通して教員への意欲をもってもらうような工夫が必要ではないか、といった提案が出された(すでに、そういった試みに着手しようとしている学校もあるという報告もあった)。

 全体として、テーマである「次代の担い手」について話題が集中したが、学校によってはかなり深刻なクリスチャン教員(教諭)不足が生じており、キリスト教の諸学校がキリスト教学校として存続するために、改めて諸学校が問題を共有し、知恵と力を合わせて具体的な取り組みをしていかなければならないとの思いを強くさせられた。

〈聖学院大学人文学部チャプレン〉

キリスト教学校教育 2007年1月号6面