キリスト教学校教育バックナンバー
キリスト教学校教育バックナンバー
<シリーズ>
生きる 学校は今 Part2
日本聾話学校
ライシャワー・クレーマー学園
<東京都町田市>
「愛はいつまでも絶えることなし」
(コリントⅠ13・8)
-可能性は空の極みまで-
ライシャワー・クレーマー学園
<東京都町田市>
(コリントⅠ13・8)
西海 昭延
本校は東京都町田市郊外、多摩丘陵の野津田の丘にある、日本で唯一の私立の聾話学校です。
創立の由来と神の意志
本校は、一九二〇年四月二十八日に宣教師であった、ライシャワ夫妻により設立されました。故大嶋功元校長が、日本聾話学校設立の動機となったライシャワ夫妻の長女フェリシアの失聴とその教育について次のように記しています。
「この力弱きものの癒され難い傷は、それによって彼女もまた、この家族の一員たるにふさわしく、日本に奉仕する恵みのとげであったのだ。フェリシアの聾の真の原因は、彼らが信じ、彼らを愛し、彼らを日本に遣わした、イエス・キリストの父なる神の聖なる意志であったことを、夫妻は苦悩と祈りと希望と労苦とを通してはっきりと知った。『日本の聾児とその家庭の真の幸福のために、口話法の教育を日本に移す』使命の遂行のために夫妻は祈りに祈った。日本聾話学校設立の出発点が、悲しみと喜びの涙の経験に基づいている由縁である。この出発点を共有するということは、親の悲しみと喜びの涙を共有することである。その背後に人間を超えて人間を導く神の意志があることをまた苦悩と祈りと希望と労苦とを通して気づいたのである。」
私達は、まず何よりも子どもを愛し、理解し、親と親しみ、心のこもった対話を通して共に育ち、その中でこの営みの出発点と行方に神の心と力があることに気づき、絶えずここに立ち返り無限の成長を志し続けなければならない、と考えています。
聴覚主導の人間教育
本校は、乳幼児から中学卒業まで一貫して聴覚主導の人間教育を行っています。乳幼児期から最適に調整された補聴器と人工内耳を使って、残された聴力を最大限に生かし、聴覚を通して日々の生きたことばのやり取りを積み重ねることにより、単にことばだけでなく、子どものより良い全体的な成長発達を促します。また一人ひとりの成長に応じて健聴児の中で学ぶ機会を与え、社会の中で望ましい人間形成ができるようにサポートします。そして子ども達が〝生まれてきて良かった〟と思えるように育つように励んでいます。
心臓部のオージオロジー
「補聴器を両耳につける」、しかも出来るだけ早期から装用し、残存聴力を最大限に活用する。本校では、オージオロジー部を独立して設け専門スタッフをおき、補聴器と人工内耳に関する保守・管理と聴力測定、フィッティング、調整と耳型など、また十分な聴力保償のための赤外線補聴システム、磁気ループシステム、FMシステムの活用が常に充実した内容で教育が行われるようにしています。
早期教育が重要
聴覚に障害を持って生まれた幼児は、音声言語の獲得が困難になります。早く発見し、教育を始めることが非常に大切なことであり、乳幼児期の親子の豊かな安定した関わりが、子どもの発達の基礎となります。本校では0才からの親子を具体的にライシャワ・クレーマ学園で指導しています。
インタラクション
聴覚障害は「関係性の障害」とも言われています。インタラクション(対話)は、その障害の克服のために重要と考えています。他者との信頼関係を築き、安心感を育て、解ってもらえると同時に、話すことの楽しさを身につけ、人と交わることを恐れない人、また自分の思いを相手に伝えたいという思いを培うため、毎日一対一での対話の時間を幼稚部・小学部・中学部でとり、教育しています。
本校は全国の心ある多勢の人々、教会、学校、団体などの祈りと援助により成りたっている学校です。本当にありがとうございます。皆様の応援に応えるよう励んでまいります。
〈日本聾話学校校長〉
キリスト教学校教育 2007年4月号4面